011 voice
神谷家のクリスマスパーティーの帰り道。
先ほど、日野にからかわれた言葉・・・・。
”送り狼になるなよ”
心の奥を悟られまいと軽くかわしたつもりだったが、
上手く隠せていただろうか。。。
普段なら、いつもどおりのからかいだと、さらりとかわせていただろう・・・。
だが、今日は違う・・・。
なぜなら今夜は・・・。
いつもの他愛のないからかいでさえ、俺を敏感にさせる。

今日はクリスマス・・・。
こいつと過ごすのはもう何度目になるだろう・・・。
慣れないプレゼントにとまどったこともあった。
ためらいがちに口づけをかわしたこともあった。
こいつと知り合ってからは、いつも一緒だったな。
クリスマスなんてものは俺なんかには縁のないものだったのに・・・。

今日、俺をこんなに感傷的な気分にさせるのは
このしんとした静けさのせいか・・・。
心にしみいるように降り積もる真っ白い粉雪のせいか・・・。
それとも静かに聞こえてくるこいつの穏やかな心の声のせいかもしれない・・・。
隣を歩く江藤は何だろう・・・今日はいやに落ち着いて、
幸せそうで、いつにもまして・・・きれいだと思う。
今日の俺はらしくねえな・・・。
面と向かって言えるはずのない言葉を心の中でそっとつぶやく。
こいつが人の心を読む能力をもっていなかったことに心から感謝するよ。
この声が聞こえてしまったら俺は・・・///
何も気づかず江藤は小さな声で何かの曲をくちずさんでいる。
思わず手を取って俺より一回り小さい手を握りしめた。
江藤は少し驚いたようだったが、にこっと微笑んで強く握りかえしてきた。
今日の俺は思考を閉じることさえできない。
俺の隣で幸せそうにいるこいつをずっとそばにおいておきたい。

ひたすら考えて、決めた言葉、、、
心の中でずっとつぶやいてきた言葉。。。
思いを込めて、声に出す。
たいしたことはいえねえが、、、

今日はクリスマス・・・。
将来への誓いを今夜ここで・・・。




あとがき

「クリスマスの贈り物」のラストシーン、二人が歩いているところの俊の想いです。
なんじゃ?文に全然なってないですね・・・ーー;
短いし〜〜〜〜〜。

俊はいろんな事を頭の中で考えているはずなんです。
でも言葉にださない!
真壁くんの気持ちを読むことが出来たら、、、さぞかし楽しいでしょうね〜〜〜。
むふふ。