084 ハニー







 俊と蘭世のちょっと大人の時間デス(照)
 お子様(いらっしゃれば)回れ右です〜。
 お嫌いな方も要注意です。苦情はうけつけましぇんっ

 
086だらだらと対になっています。
 こちらは蘭世Ver.

















「ん・・・」

一瞬たじろいだ後、蘭世はゆっくりと瞼を開いた。

どれくらい眠っていたのだろう。

傾いたオレンジの陽が窓から差し込んでいたように思うが、今はもうすっかり日は落ちてしまっていた。

まどろみながらも蘭世は自分の頭の下に伸ばされている日に焼けた腕の手首をさすった。

そしてそのままその指先まで、自分の指を滑らせてそっと絡ませた。




(大きい手・・・)




その指を絡めていると何時間か前の二人の営みをふと思い出して

蘭世はほんのりと顔を赤らめた。

そして自分の手を胸に引っ込めた。



自分の背中に規則正しい息遣いを感じる。

眠っている表情を見たいと思うが、彼の腕の中で寝返りを打つことで

彼を起こしてしまうのがためらわれた。

彼のほうを振り返ったところで、彼が目を覚ましそこで目が合ってしまったら

今は穏やかに動いている鼓動は、たぶん自分では抑えられないぐらいの不整脈をきたすだろう。






彼と肌を重ねたのはまだ数える程度だ。

始まる前も終わった後も未だに恥ずかしさでいっぱいになる。

普段のクールな彼からは想像つかないほどの熱を帯びた真剣な眼差しで

射すくめられると、蘭世はまるで狙われた小動物のように身動きが取れなくなる。

しかし、小動物と違いそこには恐怖はない。

あるのは、焦がれ高まる感情と、その胸の高ぶりに対する動揺。

だが、それさえも彼の腕の中に引き寄せられた途端、一気に取り払われて真っ白になる。

唯一つ、残されたのは、もっと愛されたいという高揚感のみ。

とめどなくあふれてくる想いに溺れそうになってすがりつこうと伸ばした腕を

しっかりとつかみあげる深い瞳に蘭世は1mmも離れたくなくて

その想いを残らず伝えられるようにしがみつく。

平常心に戻った時、そんな思わず表面化してしまう潜在した未知なる感情のやり場を見つけられずに、

そしてそれに伴って自分でももてあますほどのその感情を、恐らく相手にマジマジと見られていただろうということの恥じらいが

l急激に蘭世の身に襲い掛かってくるものだから、いつもこんな風に彼に背を向けてしまう。




彼のぬくもりを背中で感じるだけで十分。




これ以上あの目に見つめfられたらきっともう壊れてしまう。





未だにこの腕の中に包まれているのが信じられない。

ついこの間までは、二人の行き先さえ見失いかけていたのに、

今この腕の傍にいることが、この胸に抱えられていることが、

まるでふわふわした夢の中のことのように感じる。






蘭世はふとむき出しのままだった肩に寒さを感じ、散らかされたままの服を探そうと、

布団をめくってそっと起き上ろうとしたとき、

頭の下にひかれていた腕に力が入り、さっきまでは触れていなかったもう一つの腕が上から降りかかってきたかと思うと

起きあがりかけていた蘭世の体をぐっと引き寄せて背後から抱きしめた。


きゃっと蘭世はバランスを崩し、簡単に俊の腕の中に落ちる。

蘭世は恐る恐る振り返った。

引き寄せられたせいでグッと距離が近くなった後の表情は

いつものポーカーフェイスのまま目が閉じられているようなもので

蘭世は目が合わなかったことに半分安心、半分がっかりしてほっと息をついた。

そしてもう一度布団から出ようと自分を抱えている腕をそぉーっと取り外そうと試みた。

すると、また力の抜けていた俊の両腕には力が戻り、蘭世の試みはあっさりとなすすべをなくした。





「・・・・もう・・・・起きてるの?」

蘭世のささやかな問いにも返答はなく、俊は未だ瞳を閉じたままで。

しかし、俊の腕からは力が抜けることはなく、しっかりと蘭世の背後から抱き締め続けいた。



「あの・・・真壁くん・・・?・・・あの少し腕外して」

「・・・・・・離さない・・・」

「あの・・・服を…着ようかと・・・」

するとそこまでいった蘭世の声にかぶせるように俊が目を閉じたまま囁いた。

「いいよ・・・まだ着なくても・・・」

「な・・・何言って///」

耳元から低く少しかすれた声でささやかれて蘭世はドキっとする。





ズルイ・・・

いつだって・・・

私は真壁くんのこんなちょっとした行動でさえも揺り動かされる。

胸が大きく鳴り響き、ほほは赤く熱く火照る。





「体が冷えてきちゃったから・・・」

「あっためてやるから大丈夫・・・このままでいろよ」

それだけいうと、俊はもっと深く蘭世を腕の中に抱き寄せると蘭世の髪に顔をうずめた。

まだ夢うつつなのか、いつになく甘えを見せる俊に蘭世は動揺しながらも幸せを感じる。

普段見せない俊の素な姿に。

自分だけが見れる甘いひと時・・・。





「もう夜になっちゃってるよ?起きない?」

「・・・・・嫌」



後ろから抱き締められるのはスキ・・・

守られてるって感じがして・・・。



好きだけど顔も見たくなって、蘭世は思い切って俊の腕の中で振り返った。





(・・・キレイな顔・・・・・)





初めて見た瞬間に恋に落ちたその顔は、今もなお蘭世の心を捉えて離さない。

力強い眉も、長いまつげも、整った鼻も、薄い唇も・・・・・・

しっかりと目に焼き付けるようにじっと見つめていると

俊はゆっくりと瞳を開けた。

視線が絡み合う。



「何だよ・・・」

じっと見られていることに照れを感じたのか、俊は眉をひそめながらつぶやく。

「何でもない」

そういって蘭世は俊の厚い胸に顔をうずめる。

俊はそのまま蘭世の髪に指を通しながらもてあそんでいる。



「真壁くん・・・髪好きだよね・・・よく遊んでる・・・」

蘭世はされるがままでつぶやく。

「ん・・・俺にはないものだし・・・」

「ぷっ。。。何それ」

そういって笑う蘭世のほっそりとした顎に俊は手をかけて上を向かせる。

蘭世はドキリとする。

あの真剣な眼差しがまた降ってくる。

熱くて、蘭世を捉えて離さない深い瞳。



でも拒めない。

拒む気なんて起こるわけがない。



普段冷静でいつも明後日のほうを向いている俊の瞳が

自分を執拗にまで求めていることに

嬉しさと幸せを感じずにはいられないのだ。

そしてたぶんそれはお互いさま・・・。

自分も、同じように、

彼を求めてしまっているんだから・・・。

彼に背を向けているのは、それを気づかれないためだなんて・・・





再度視線が絡み合う。

その視界を少しずつ閉じさせながら、俊は蘭世に深い口づけを落としていった。




またゆっくりと・・・夜が更けていく・・・










あとがき


正月早々何書いてるんでしょう・・・(汗)
いやぁ・・・ずっと去年からあま〜いのを書きたかったんですね。
うちの最近の二人は、ウブウブが多かったので。

あま〜いということでハニーです。
俊くんって後ろから抱き締めるの好きそうだな〜と
ふと思いついてこんな感じにしてみました。
まぁ、kauの書けるのはこの程度の範囲です。
続き誰か書いてください(笑)







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