brothers







お題  【欲望】
カップリング 【俊×アロン+蘭世+フィラ】











「はぁーーーー。疲れたーーーーー!!」
俊とアロンは帰ってくるなりリビングのソファーに倒れこんだ。
神風高校との対校試合に向けてのトレーニングが、早朝そして放課後と、連日続けられ、二人が魔界の王子だとしても十分疲れていた。

体力には自信のあった俊も、これだけ本格的に練習に打ち込むのは久しぶりである。
ソファーに体を沈み込ませたまま起き上がれずに、うとうとし始めた。

その瞬間、ダイニングの電気がパパパパっとひとりでに灯り、
いつものようにベルトコンベアー状態に自動的に夕食が運ばれてきた。

ダイエットメニューになったとはいえ、できたての温かい食事が運ばれてくると
部屋中においしそうな匂いが充満する。

アロンはパチっと目を開け「食事だ」と言って、すくっと立ち上がりテーブルについた。
「俊も早く来いよ。冷めるよ〜」
重くなった瞼をゆっくりと開けて声のする方をチラリと見る。

(アイツ、なんだかんだ言ってもやっぱり元気だよな・・・)

俊は先ほどまでの疲れも一瞬で吹き飛んだかのように、
勢いよくご飯を口元にかきこんでいる弟を眺めて、改めて感心した。

「お前、よく食うなあ・・・」
俊はアロンにそう声をかけながら、隣の席にドカッと座った。

「何で?だってお腹すくだろ?俊は食べないの?」
アロンはチキンソテーを頬張りながら、もがもがと問いかけた。

「・・・まぁ。。食うけど・・・」
俊はふっとはにかみながら重い腕を動かして綺麗にそろえて置かれていたフォークを手に取った。









「でもさぁ。俊」
アロンは食べるスピードを落とすことなく声を発した。

「んー?」
俊もスープを口元に運ぶのをやめずに答える。

「男二人だけの生活ってわびしいもんだよね」
アロンはフォークでお皿をつつきながら言った。

「そっか?いいんじゃねえの?気楽で。」
俊は深く考えないまま適当に答えた。

「そういうもんかなぁ・・・・はっ!まさか俊!僕と暮らしてみたかったとか・・・?」
アロンの返事に俊は思わずブーーーーッと口からスープを吐き出した。

「はぁ?何でそういう話になんだよ。気色悪い。」

「だってほら〜、僕たちずっと仲たがいしてたしさ〜。兄弟愛を深めたいのかなって・・・」
アロンはにっこり微笑みながら言った。

「何言ってんだ?お前は・・・ついていけねえぜ・・・」
俊はコイツ本当に俺と双子なのか・・・?と首をかしげながら止めていた手を再び動かし始めた。

「俊の気持ちはうれしいけどさぁ・・・やっぱり僕はフィラと一緒に住みたいよ!!」
アロンは俊の言葉を聞いていなかったのか、思い切り無視してはぁ・・とため息をつきながら遠い目をした。

「だから!俺は別に・・・ってフィラともさっきまで会ってたじゃねえか・・・」

「一秒でも離れていたくないんだよぉ!分かるだろ?」
アロンは半泣き状態で隣に座っていた俊にしがみつきながら抗議する。

「だーー!泣くなよ!ったく・・・江藤んちにいるんだから、会いたきゃすぐ会いに行けるだろ!」
俊は少し後ろに身をのけぞらせながら、言い返した。

「だーかーらー!一緒に暮らしたいんだよ〜〜!なのに、女人禁制のうちだなんて、父上もあんまりだよ〜そう思うだろ?」

「知るかっ!」
俊はアホらし・・・っとあきれながら、再度食事を始めた。






「・・・・・」
アロンはすっかり食事を終えて、隣で黙々と食事を進める俊を
テーブルに腕をつきながらじーーーっと見つめた。

「俊ってさぁ・・・・」
アロンは姿勢を崩さぬまま俊を眺めながら言った。



「蘭世ちゃんとはもう結ばれたの?」



アロンの唐突な発言に、俊は先ほどよりも勢いよく、口に入っていたものをブーーーーーっっと吹き飛ばした。
そしてそのままむせて咳き込む。

「ゲホっ!・・・・ゲホっ・・・!な、な、なんだよいきなり!」

「え〜〜〜〜!だってさぁ・・・好きなら当然そうなるだろ?」

「知るかっ」

「俊があんまり『蘭世ちゃん、蘭世ちゃん』って言わないのは、きっとまだ二人の関係がそうなっていないからじゃない?」
アロンはわかった!っという顔をして、ポンと両手を打って言った。

「何でそうなるんだよ・・・ていうかお前には関係ないだろ」

「違うの?じゃぁもう済んでるの?ねぇ教えてよ。あっ!僕に気を遣ってるんだったら気にしなくていいよ♪
もう過去のことだからさ♪僕にはフィラがいるからね〜」
アロンはニコニコしながら俊に擦り寄る。

「うるせぇな!寄るな!」

「一度そういう関係になっちゃうとさぁ、もう一秒でも離れたくなくなるんだよね〜。」
アロンは俊の言葉をまたまた無視して俊にもたれながらまた遠い目をしていった。

「わかったよ!わかったから離れろよ!」

「僕の勘だと、絶対俊はまだ蘭世ちゃんと済ませてない!ズバリそうでしょ〜〜〜!」
アロンは俊を指差しながら口元を緩ませて言った。

「・・・・うっ・・・」

俊は何も言えなくなって一瞬動けなくなったが、「うるせえんだよ」と弟のおでこをばしっと指先で叩いた。

「よし!食事も終わったし、僕はフィラんとこに行ってくる」
アロンはすたっと立ち上がって言った。

「おまえなぁ・・・明日も朝錬するんだぞ!」

「ふっふっふ〜魔界人だぞ?僕は。しかも王子だぞ〜?明日になったら疲れなんか吹っ飛んでるんだよ♪」
アロンは両手を腰に当てて、ふんぞり返りながら言った。

そして「それに・・・」と付け加えた後、俊の耳元に口を寄せた。

「疲れを癒すには女の体が一番なんだよ♪」

その言葉を聞いて、ドタッっと俊は座っていた椅子から転げ落ちた。

「蘭世ちゃん呼んできてあげるよ〜」
アロンはそういいながら手を振って部屋を出て行った。

「アロン!お前・・・余計なこというんじゃねえぞ!」

ふかふかのカーペットの上で転げたまま俊は去っていく弟の背中に動揺しながら精一杯の声をかけた。

「・・・・・・ったく・・・アノヤロウ・・・・」

俊はそのまま胡坐をかいて半分は蘭世が来ないことを祈り、もう半分はかすかな期待を抱いていた。








<END>








あとがき



何書いてるんだろう・・・私・・・^^;
背景は、俊とアロンが一緒にあの女人禁制の家に住んでいたわずかな時のお話です。
ここでは、まだ俊と蘭世の関係は進んでいないということで・・・^^
俊とアロンの関係って好きなんですよね〜♪
兄弟って言うより親友に近いイメージがあります。
過去は最悪だったけどね^^;
アロンは俊のこと大好きで、俊もアロンの楽観的な部分に振り回されながらも楽しんでいる・・・そんな関係っぽくて好きです。
テーマが「愛」に思いっきり外れているけど、
一応兄弟愛と、それぞれの彼女への愛ということで・・・(俊はあんまりだせてませんが・・・)
はぁ・・・ため息。







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