新年の挨拶はメールだった。
今年始めて彼の声を聞いたのは今年になって2日目。

彼と会う約束が出来たのは4日目。

会える日は6日目。


日々忙しくして体を極限まで酷使している彼に
私は見守るしか出来ない。

それはさみしく思うんだけど
彼は私を必要としてくれるその事実だけでもいい。



前日、というか日付が変わったころに私の携帯に彼から
メールが来ていた。





to:真壁くん
sub:無題



悪い。明日起こしてくれ。





彼からのメールはその一行だけでもうれしい。
筆不精な彼からのメッセージだし。
明日、例え真壁君が眠っていても会えるということだもんね。

久しぶりの彼のオフ。
ゆっくり寝るのは久しぶりなんだろう。たぶん
でもでも私と会える時間作ってくれるんだよね?

私の手の中には彼から貰った合鍵。

そっと握り直すと手の温度が移っていて
かすかに温かく感じる。


ドアを開けそっと入ると
バスルーム近くに脱ぎ散らかした彼の服。
何とかシャワーを浴びて寝た。って感じかな?

風邪ひかなければいいんだけど。

寝室に入ると枕の上に左の頬を下敷きに真壁君は寝ていた。

普段クールな彼の眠っている無防備なその顔は
すごくかわいく見える。

男の人にそんなこと言うと失礼かな?

顔が綻んでしまうけど私は彼に近づいた。


「今年もヨロシクネ」

チュッ


きゃ――。

眠ってる真壁君にほっぺにチューしちゃった。
エヘヘ

大胆な私。

今年はじめてのチューはほっぺに私から……

にっこり彼を振り返ると
顔を赤くしながら真壁君が上半身を起こしていた。

「え?えっ。あ……起きてたの?」

真壁君は頭を乱暴に掻き揚げた。


「お前!!うるさ過ぎな……んだ」

ええ?私無意識に声を出してた?

「声は出てないけど思考がボリュームMAXだぞ?」

「きゃー。真壁君また読んだの?」
「って言うか。寝ている人間に不可抗力だと思うのだが?」

ううう。確かに……

絨毯に座り込み落ち込んだ。



「ほっぺにチューはねえだろ?」

真壁君の声が間近に聞こえたと思ったら
私の唇に乾いた彼の唇が触れた。

「これくらいしてもらわないとな」

そう言って真壁君はニヤリと笑った。




その後、“今年、はじめて”の連発でした。

その“はじめて”は二人だけ秘密。




おわり






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■とーか様からのコメント

新年明けましておめでとうございます。

何度もイラストを書き直して……やっと描けたのがコレです(汗)
久しぶりに蘭世ちゃんを描いたような気がします。

描いている最中にショートストーリーが浮かんだので
書いてみました。

今年もよろしくお願いします。


                   2007.1.7


■kauranより

明けましておめでとうございます。

新年にこんな素敵なイラスト&SSを頂いてしまいましたっっ!!
蘭世ちゃんのこのどことなく幸せそうな微笑が
全てを語っていると思いませんか??
蘭世ちゃんになりきってこのお話を読ませていただきました☆

とーかさん、ホントにありがとうございました〜♪
今年もヨロシクお願いいたしますvv






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