大切に想うのは 〜卓のタイムトラベル〜

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エピローグ *****














「ただいま」

卓が過去から戻って家に帰ってくると、俊ももう帰ってきていて

リビングの様子はいつもと変わらず、ソファーに座る俊のとなりでなにやら楽しげに話す蘭世の姿があった。





「あれ・・・仲直りしたの?」

そういう卓に蘭世は「ごめんね。朝は」といって微笑んだ。

その表情が今見てきた若い頃の蘭世の表情とゆっくりとダブった。

悲しげな表情もさせる、でもこんなに幸せそうな表情もさせることができる・・・

なんだかんだとやはりこうしてすぐに仲直りするのも

二人にしかわからない深い何かがあるんだろう。

それはそう、最初から俺が出る幕もない。

卓は拍子ぬけた感じではぁと息をついた。





卓が俊の方に視線を移すと、俊はコーヒーをすすりながらじっと卓を見つめていた。

その含みありげな視線に卓はドキリとする。





「な、何か?」

卓は顔をひきつらせながら笑顔を見せる。

「お前・・・今までどこに行ってたんだ?」

「え?いや、別に」





その時、バタンと愛良がリビングに入ってきた。

「あ〜おなかすいた。あれ?お兄ちゃん、帰ってきてたの?どうだった?過去は。私の言ったとおりでしょ?」

「バ、バカ!」

慌てて卓は愛良の口を塞ぐ。

「過去?」

蘭世はきょとんとして卓を見ていたが、その隣で俊はジロリと卓に睨みを聞かせている。





(こ、怖ぇ・・・)





「過去に行ってたの?いったい何しに・・・」

「説明しろ。卓・・・」

「え・・・いや・・・その・・・」

「お兄ちゃんが若い頃のお父さんとお母さんが見たいっていうから」

「ば、バカ愛良。お前が俺を過去の扉に突き飛ばしたんだろうが!」

「はあ〜?行く気マンマンだったじゃない!」

「お前が行けって言ったんだろ!」

「何よ〜人のせいにして〜」





「うるさい!!」





俊の怒声が飛んで二人の子どもがビクッと口を閉ざす。

「お前、もしかしてあのときの・・・」

「ひ、人違いです。スミマセン」

そういって卓は愛良を俊の方に突き飛ばすと慌ててリビングから飛び出した

「ったぁ。。。何よぉ。お兄ちゃんったら〜」

「お前も何かかんでるのか?愛良。」

「え゛っ・・・いや、わ、私しらな〜い。」

そういって愛良も後ずさりしながら部屋から飛び出していった。





「何?何なの?」

蘭世が一人わけがわからないといった表情で右往左往している。

「ったく・・・誰に似たのか二人とも」

「ちょっと、それどういう意味?」

「・・・」


俊はふっと肩をすくめると、蘭世の肩をそっと引き寄せた。





「ヤなこと思い出してた。」

「なあに?ヤなことって」

「アノヤロウ。。。あいつだったんだって思ってさ。」

「誰のこと?」

「今更ちょっと安心した」

「ちょっと・・・何?わからない。何のこと?」

「いいよ。おまえはわからなくても」

俊はそういって、蘭世の頭を自分の肩に引き寄せた。

そしてじっと蘭世を見つめるとふっと笑ってその唇に口づけた。





蘭世は俊の言う言葉の意味が未だ理解できていなかったが、俊のぬくもりが暖かくて

そっと瞳を伏せた。




END




←後編




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<あとがき>

こんにちは又は初めまして、Marocha's Living Room.のまろちゃです。
今回はコラボということでkauranさんと組ませていただきました♪
お話の続きを見せていただくたびにラブラブ成分を分けていただきつつも、
通常時の自分の創作がいかにヨコシマかということをつくづく認識いたしました次第です(苦笑)
制作中は「卓を主人公にするよ!」とkauranさんに言われてから、慌てて彼の髪型を確認するというダメっぷりでしたが、
なんとか描くことができて楽しかったですv
父親が同年代になったって卓はきっと威圧されてるに違いないとか、「卓はマザコンぽい」という共通見解があったことは内緒です(失礼)
お相手してくださったkauranさん、見てくださった皆様に感謝いたしますv <まろちゃ>


こんにちわ☆ ときめきLOVERSのkauranです。
皆様、このたびはコラボ作品をご覧いただきましてどうもありがとうございました。
コラボというのは、とにかく話が出来上がらないとイラストも描けないわけで、
それをわかっていながらも、わたくしめがチンタラとなかなか書き上げなかったり、
プロローグなんかはプロローグなのに最後に書いてみたりして^^;
しかも、本編を読まれただけで、kauの脳裏を推測して先にプロローグのイラストを描いてくださり
kauはそれに見とれながらお話を書かせてもらったという・・・^^;
それはもうどれだけ寛容なお心で助けていただいたか・・・うるる
そして卓はマザコンだ!とのkauの勝手な人物設定?にも
共感してくださったりと(笑)
まろちゃさんは鈍くさい私に、
きっと最後まで(というかたぶんUP最終の今日も)ヤキモキされていたに違いありませんが、
kauはとってもうれしかったし、とっても楽しく取り組ませていただけました〜☆
本当にどうもありがとうございました☆
またご一緒できる日を楽しみにしておりますvv <kauran>