この作品はさとくーさまより頂きました☆








『Please hug me !』  〜 Several months later




                                    written by さとくー








日が長くなったとはいえ、さすがに涼しい風が頬を撫で始め、人影が寂しくなった道を、

俊はいつものように、ジムからアパートへと帰る途中だった。

あれからほどなく、俊にアパートの合鍵を渡された蘭世は、

食事を作りにアパートに訪れる事も多くなっていた。







そんなある日の事。。。



「もう、あっち行ってってば!あなた達に用は無いんだから!

(もう、魔法使っちゃおうかなぁ。でも、ここは一体、どこよぅ。)」



急に俊の思念に入ってきた言葉と心の声。

不思議に思って見ると、人気のない路地裏でいかにも柄の悪そうな(と俊がいうのもおかしいが)、

男共が若い女性に絡んでいる。

無論、そんな抵抗が聞き入られるはずがなく、俊は舌打ちしながらその間に割って入る。


 
「あんたら、いい加減にしろよ」「んだと?」

当然、邪魔をされた矛先は俊へと向かって来たが、

鋭い眼光で一瞥をくれると、その迫力に押されたのか、さすがに相手が悪いとの判断は付いたのか、

お決まりの台詞を吐きながら立ち去っていった。



「あんた、大丈夫か?こんな所にいたら襲ってくれって言ってるようなもんだろが。」

道端に座り込み、目を少し潤ませているものの、じっと俊を見つめると、

「あ、ありがとう。。。」と呟きながら、少女は立ち上がった。

取り敢えず、灯りのある処まで連れて行く。

街灯の下で改めて見る少女は、空を切り取ったようなスカイブルーの衣装に身を包み、

肩の辺りまで流れる艶やかな黒髪を風になびかせている。

その胸元には、獅子をかたどったシルバーの指輪が鎖につながれ、揺れていた。

美人の部類に入るだろうが、それよりも表情のあどけなさが、先にたち、

恐らく、歳はそんなには違わないであろうが、少女と呼ぶに相応しかった。

何よりも漆黒の黒曜石のようにキラキラと輝かせるその人懐っこい目は、

俊の一番愛しい人を連想させた。



「でも、強いんだね〜!一睨みしたら逃げちゃったよ、凄い凄い〜!!

それに、カッコイイね、君。背も高いし、手足だって長いし、モテモテでしょ?」と、

自分の置かれていた状況を既に忘れたのか、少々ずれた反応を見せる。

それに対して、俊は少し呆れながらふぅと一つ溜息をつく。

「あんたな、自分の状況が分かってんのか?とにかく、さっさと家に帰れよ。」

少し強い口調でぶっきらぼうに言うと、踵を返そうとする。





「…ん、…やっぱり、……は、来てくれないよね。忙しいもんね。」

寂しさを押し殺した声でそう少女は呟くと、膝を抱え込むようにしてその場にしゃがみこんだ。

「おい!またそんなところで座り込むなよ!」つい、怒鳴ってしまう。

が、ふと少女を見ると、目尻に光るものがある。

その様子に、躊躇し、幾分トーンを落として、訊ねる。

「誰か、待ってんのか?」

「あ、ううん、違うの、違うの。…って言うか、お仕事ばかりだから、

私が怒って飛び出してきちゃったの。凄く、楽しみにしてたんだ、

久しぶりにお休みが取れるって言ってたのに、また急にお仕事入っちゃって…。」

どうやら、痴話喧嘩で飛び出してきたらしいが、ここら辺りでは見かけない顔であるし、

何より、原因が「彼が忙しくて会えない」という、俊にとっても身につまされるものだったからか、

その叱られた子犬のように俯く姿が、蘭世と重なって見えて思わず足を止める。



「…悪かったな。…その、怒鳴って。」

信じられないというかのように目をくるくるさせると、少女はクスクスと笑い出した。



「何だよ」「ご、ごめん。それ、彼の口癖だから、つい…」

つい、その時の顔を思い出しちゃってと、先程のものとは違う、笑い涙を目尻に溜めて弁解する。

泣かれるよりは、マシだと思ったが、この状況はどう打開したものか。

このまま放り出す訳には…いかねえだろうな。

そんな俊の様子も何処吹く風で、少女はすっかり打ち解けた表情になり、話し掛けてくる。





「ついでに聞いてもいいかな?

もし、君だったら、こんな、こっ…恋人(///)ってやっぱり負担かな?

彼のために何かしたいって思う気持はいっつも満タンなのに、実際は

いつも、彼に守られて、待っているだけしか出来ないの。

彼はすっごく、優秀だし、格好よくて、私より何でも上手く出来る。

でも、自分の心に関しては不器用で、素直じゃなくて、寂しがり屋なの…だから」

惚気られてるんだか何だか分からない気もするが、

縋るような目が必死で、もし蘭世にされたのなら絶対答えないような質問に、

不思議と懸命に答えを探し充てようとする自分がいた。




「あんたの、彼氏が忙しいのがどういう理由かしらねえが…

それと自分の存在が負担だと思うことは関係ねえだろ。

あんたが必要だから、そばにいて欲しいと思うから、一緒にいるんだろ。

あんたが、いつも笑っていてくれりゃあ、彼氏だってそれだけでいいんじゃねえのか。」

つい、自分と重ねてしまい、自分の弁解をするように語ってしまってちょっと照れる。

やはり、この少女と蘭世がダブって見えるせいなのか。

そして、少女の言う「彼」と「自分」が。

外見とかでなく、内面的なものまで。



目の前の少女に話すというよりはむしろ、今アパートで自分の帰りを待っているであろう

蘭世に向けて話してるようだった。






ふっと、緩やかな風が吹くように微笑むと少女が口を開く。

「あのねぇ、今のあなたの顔、すっごく優しい顔してる。

愛しくて、堪らないって気持で溢れてる。その顔、私も知ってる。

彼が仕事で帰って来たときに、ハグハグってしてくれる時の顔と一緒だもん。

あなたにも、大切な人がいるんだね?

でも、きっと素直に気持を伝えられてないでしょう?」

初対面の少女に、いきなり図星を指されて思わず真っ赤になる。



「「悪かったな!!」」

お互いの声がハモリ、少女は更にお腹を抱えて笑い出した。



「やっぱり、そっくり!一見無愛想だけど、困った人を放って置けなくて、ホントは優しくて…」

えらい云われようだとは思ったが、この少女のお陰で、

一層、自分の蘭世に対する態度と気持がハッキリとし、つられて笑みを浮かべる。

早く、あいつに会いたい。






「リノア!!」



遠くから、声が聞え、二人が振り返ると、もう日もかなり暮れて、闇夜が空を覆い始めた道に

独特のオーラを纏った男性が目に入った。

俊と同じ位の背格好で黒色の上下服に身を包んでいる。

柔らかく揺れ、日に照らされて薄く金色に透ける茶色の髪。

端正な顔立ちだが、額から右の鼻筋にかけて鋭利なもので切り裂かれたような傷がある。

それは痛ましさよりも、双璧のアイスブルーの力強い瞳と相まって、精悍さをより際立たせている。

しかし、今はその端正な顔を歪ませ、息を切らせている様は、

必死に彼女を探し回っていた気配を、ありありと窺わせている。



「スコール!!」少女は小さく嗚咽しながらも、破顔しながら名前を呟いた。

「ほら、迎えが来たみたいだぜ、誤解されないうちにさっさと行けよ。

俺はあんなオーラを出してる奴とやりあう気はないからな。

…それから、忙しくても、あいつはきっとあんたが一番大切だ、信じてやれよ。」



「うん、色々ありがとうね。あなた、彼と同じくらいいい男だよ!

このリノア様が保障するっ!

あと、彼女もね、ホントは側にいれるだけ

で嬉しいんだよ。

けど、時々不安になるの。あんまり態度に表してくれないと。

だから、たまにはハグハグして、さっきの気持、彼女に見せてあげてね?」






最後にいたずらっぽく人差し指を口唇に当ててウインクすると、



俊の脇を駆け抜け、両手を広げてその黒い人影へめがけるように走っていった。




苦笑しながら、俊が歩き出すと後ろで、空間が歪むような気配がした。

後に残るは、体温を奪う風と、とっぷりと暮れた闇だけだった。



(変なやつ。…スコール、…リノア。…!!……まさか!?…な。)



少し小さく首を振ると、バッグを抱えなおしアパートへと向かった。

無性に、蘭世の笑顔が見たかった。






アパートに辿り着くと、蘭世が俊を迎える。

「お帰りなさい…ってか、お邪魔してます。///」

まだ、出迎える事に慣れていないのか、主のいない部屋に一人でいることが居心地が悪いのか

妙に照れくさそうな態度をとる。

かく言う俊も普段は照れくさいのだが…

この日は、自然に口から零れた。



「ただいま」

「お帰りなさい」

零れるような笑顔で蘭世は俊を迎える。




帰れば、迎えてくれる人がいる。

自分の帰りを心待ちにしてくれている人がいる。

だから、自分は(蘭世)ここに還ってくる。




「…いつも、ありがとな。」

「え?そんな体した事してないし(私が会いたいだけだし…)」

「(側に居てくれて)ありがとな。」




耳まで赤くなりながらも、再度繰り返すと、その言葉の真の意味が分かったのか、

蘭世はハラハラと宝石のような滴を零しながら俊の胸に飛込んだ。

ギュッと抱き締めると、彼女温かい温もりが、俊のシャツを、身体を染め抜いていく。

暫く、そのままの姿勢でいた後、顔を両手で優しく挟み込み、

未だ零れ落ちる涙を口唇で優しく掬い取る。




見つめあった瞳には月明かりに照らされて、お互いの姿だけが映し出される。

そのまま、二人の影は一つになって、一晩中離れることは無かった。







★さとくーさまよりコメント★

こ、ここはときめき二次小説の場のはず。。。ごめんなさいっ! 
完璧「俊xリノ」(+蘭世ちゃん、ちょびっとスコ(苦笑))になってます。
しかも、ありがちな話。。。(ガハッ、ゴフッ、ゲホッ…)
Kauranさんの広〜い懐にひたすら感謝でございます。 

                          2005.JUNE





★kauより★

イヤッホォ〜〜♪スコールが出てきた〜〜v
そうです、ここはときめきの場ですが、私がいいといえばいいのですv^^;
ていうか、ばっちし”ときめき”ですよ〜〜☆
王子の語りもカコイ〜〜ですし、
王子に語らせるリノアもすごいvv
素晴らしいときめきとFF8のコラボが拝見できてめちゃうれしかったです〜〜v
どうもありがとうございましたvv







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