素直になれたら
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この作品は「ときめきトゥナイト」と「らんま1/2」のキャラクターとのコラボ作品となっております。
というより「らんま」色かなり強し。俊&蘭世は脇役的存在です。
「ときめき」以外はダメだという方や、イメージを崩される恐れのある方はご注意くださいませ。
苦情・クレーム等はお受けいたしかねます。
また、読んでみたい!とおっしゃってくださる心のお広い方で、でも「らんま1/2」がわからないの〜!!という方は
簡単な説明を載せていますので、どうぞご参照くださいませ。→コチラ☆
「世界チャンピオンだぁ?」
「そうや。乱ちゃん知らんのか?」
右京はブタ玉を「よっ」とひっくり返しながら乱馬にそう言った。
「今めっちゃ有名やねんで。現役の高校生でボクシングのフェザー級チャンピオンになったって。
ほら見てみ。この雑誌でも、こっちの雑誌でも・・・特集されてるわ。」
右京はヘラを置いて、カウンターの隅に積んであった雑誌を2・3冊取り、乱馬の前にドサッと置いた。
「ふ〜ん・・・チャンピオンねぇ」
乱馬は頬杖をついた指でほおをトントンと叩きながら、目の前に積まれた雑誌の1冊を手に取りパラパラとページをめくった。
大きな見出しが乱馬の目に留まる。
『ボクシング界に旋風の嵐!現役高校生世界チャンピオン、真壁俊の素顔に迫る!!!』
「・・・真壁俊っての?」
「そうや。なかなかの男前やろ?万一乱ちゃんとあの乱暴なあかねちゃんがくっつくなんてことがあれば、
うち、この人おいかけようかな〜♪」
右京はブタ玉をもう一度ひっくり返して焼き上がりを確認すると皿にさっと移し、「ハイ。できあがりや」と言って
乱馬の前にコトリと置いた。
「おっと☆待ってましたっ!!いただきま〜す♪」
乱馬は目の前のアツアツのブタ玉を目にすると、見ていた雑誌をパッと放り出し、勢いよくそれにかぶりついた。
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
「はぁ〜、食った食った♪やっぱうっちゃんのお好み焼きは最高だよなぁー」
乱馬は右京の店を後にしてタラタラと家路への道を歩いていた。
桜も咲き誇り、気候は一気に春満開。
のんびり歩くには最高の季節である。
「ふぁ〜あ」
乱馬が大きく両手を上げて伸びをしあくびをしていると背後でチリリンという自転車の音が聞こえた。
かと思うと、その瞬間。。。
ぎゃろんっ!!
という音とともにその自転車は乱馬の全身を踏みつけた。
「ニイハオ♪乱馬☆私とデートするね♪」
「しゃんぷぅ〜〜!どうでもいいけどお・り・ろ!!」
チャンナ服に身を包み、ゆるやかなウェーブのかかったロングヘアの少女が自転車の座席から乱馬をパチクリと見ていた。
「あいや〜、乱馬!そこにいたか?」
シャンプーは少し後ずさって自転車から降りると、ら〜んま☆との猫なで声で乱馬に抱きついた。
「オイ!離れろよぉ!」
「今日は乱馬にプレゼントがあるね」
「プレゼントだぁ?」
シャンプーは肩からかけていた小さなポシェットから何かのチケットを2枚取り出して乱馬の目の前に突き出した。
「ん?何だこれ」
乱馬は地面にまだ座り込んだままでそのチケットを凝視する。
「ボクシングの試合のチケットある。店の常連さんにもらったね。乱馬、私と一緒にいくよろし☆」
シャンプーは2枚のチケットを自分の頬にあててニコッと微笑んだ。
「ボクシング〜?普通のボクシングなら興味ねえな。ムースとでも行けよ」
「普通じゃないある。今大人気の真壁俊の防衛戦ね。なかなかとれない。貴重品ね。」
「・・・ん?真壁?(・・・そういえばさっきも・・・)」
乱馬は先ほどの右京との会話を思い出しながらじっとそのチケットを見た。
「そんなすげえのか?その男・・・」
「デビュー戦から負けなし!全てKO勝ちね」
シャンプーは口元をきゅっと上げてニヤッと笑った。
「強い男ね・・・興味出たか?」
「・・・・・・」
格闘と名のつくものには負けたことのない男・・・早乙女乱馬。
少しずつであるが、興味がじわじわとわいてくる。
「でも・・・俺は無差別格闘技だからなぁ・・・俺の拳をもってすればいくらチャンピオンったって比べもんにはならねえだろ」
といって、乱馬はシャンプーがかざしているそのチケットを人差し指でパシパシッと小突く。
「そうかな・・・?あの男。。。ただ者じゃないね。女傑族の女の目は節穴じゃないね」
シャンプーの大きな目がキラっと光る。
「・・・ただ者じゃないってどういうことだよ・・・」
乱馬がその返答をシャンプーから聞き出そうとしたその時、突風が乱馬とシャンプーの間を駆け抜けた。
あたり一面に黒いバラの花びらが舞い乱れる。
「そのチケットはわたくしがいただきますわーーーーー!!」
その声と共に、ピンク色のリボンがシャンプーの持つチケットにギュッと巻きついた。
パシッ!!
リボンに巻きつかれたチケットが女の手の中にすいつけられたかのように収まる。
「「小太刀!!」」
「シャンプー。抜け駆けはさせませんわよ。乱馬さまとデートするのはこのわたくしでございます。エイッ!!」
小太刀は掛け声と共に煙幕を地面にぶちまけると、あたりは一瞬にして真っ白な煙に覆われる。
「ゲホッ、ゲホッ・・・!小太刀!俺まで巻き込むんじゃねぇ!!・・・ゲホッ」
「小太刀!そのチケット返すね!」
シャンプーは懐から瞬時に取り出した武器のれんげを小太刀めがけて投げつけたが、小太刀はバトンをクルクルっと回しそれを振り払う。
振り払われたれんげは乱馬の方に方向を変えて、さらに勢いを増し飛んでいく。
「どわぁぁっと!危ねぇな!オイ!お前らいいかげんにしやがれっっ!!」
乱馬ははしっと飛びのき、瞬時にれんげをかわす。
れんげは地面に激突し砂埃をあげながらクルクルと回ってカタリと止まった。
「乱馬!どっちとデートするある?」
「乱馬さま!今ここではっきりおきめください!!」
「え゛っ!!」
シャンプーと小太刀の視線が同時に乱馬へと突き刺さる。
二人の足元がジリジリと乱馬につめより、乱馬もそれに合わせてじりじりと後ずさる。
(なんでいっつもこうなるんだよ・・・ここは・・・)
「逃げるが勝ち!!」
乱馬はそういってシュタッと塀の上に飛び上がり、そのまま屋根づたいに一目散に逃走した。
「あっ!!乱馬!逃げたね!!」
「お待ちになって!乱馬さまぁぁぁ〜〜〜!!」
シャンプーも小太刀もシュタッと飛び上がり、逃げ行く乱馬を追いかけた。
誰もいなくなった路地に黒いバラの花びらが静かに舞い落ちた。
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
「ゼエゼエ・・・ったくあいつら・・・・毎回毎回・・・ふざけやがって・・・」
何故か逆に攻撃対象になってしまった乱馬は、命からがら逃げ帰ってきて、天道家の居間に到着するとバタッと倒れこんだ。
「なぁに?また3人娘に追っかけられてたの?」
食卓に雑誌を広げていたこの家の三女であるあかねが、体の向きを変えることなしに頬杖をついたまま乱馬に冷たい視線を送る。
「・・・今日は・・・二人・・・ってオイ!!」
乱馬はうつぶせになったまま顔だけをあかねに向けて睨んだ。
「許婚なら大丈夫?くらい言えよ」
「だ〜れが許婚よ!自分の蒔いた種なんだから自分で何とかしなさいよ」
「自分で蒔いたんじゃない!蒔かれたんだ!!・・・ったく・・・ケッ!かわいくねーな!」
「どっちがよ!バカ!」
「バカとは何だ!寸胴女!」
「何よーもう!!」
勢いよく立ち上がったあかねは読んでいた雑誌をまるめて乱馬に殴りかかる。
「イテっ!!やめろって!」
乱馬はそういってあかねの腕を掴む。
そのとき、あかねの手によって丸められた雑誌の表紙に『真壁』という文字が見えた。
乱馬はあかねの手からその雑誌を奪い取るとペタっと畳の上に座り込んでパラパラッと雑誌をめくった。
「な、なによ!」
「・・・あかねも知ってるのか?この・・・真壁って男」
乱馬は雑誌を見続けたままあかねにそう尋ねた。
「えっ?あ、真壁俊?世界チャンピオンでしょ?さゆりたちが騒いでたから・・・」
あかねは乱馬の隣に膝をついて見ていた雑誌を覗き込んだ。
「かっこいいよね」
あかねの言葉に乱馬がピクリと肩を震わせる。
「つえ〜のか・・・?」
「強いわよ。そりゃチャンピオンだもん」
「・・・俺とどっちが強い?」
「えっ?」
あかねは一瞬動きを止めた。
「・・・そ、そんなのわからないわよ・・・戦う舞台が違うんだから・・・」
乱馬はギロッとあかねをにらむ。
「・・・俺は誰にも負けねえ」
「誰も乱馬が負けるとは言ってないじゃない」
「だけど、お前はコイツが強いって認めるんだろ?」
「だってチャンピオンなんだもん。弱くはないでしょ?・・・・・・ってもしかして妬いてるの?」
あかねは乱馬のうつむいた顔を覗き込む。
「ばっ!!ち、違う!!///んなわけねえだろ!誰がこんなかわいくねえ女!」
「む・・・。何よー。私だってあんたなんかよりこの真壁くんが許婚だったらよかったのに!」
「・・・んだとっ!?フンっ!勝手にしろってんだ!」
そういって乱馬はドタドタと大きな音を立てながら部屋から出ていった。
「ちょっと!乱馬!・・・もう・・・どうしてこうなっちゃうかなぁ・・・」
売り言葉に買い言葉でついついいつもこうなる。
わかっているのに止められず憎まれ口を叩いてしまう自分にほとほと愛想がつきる。
あかねは落ち着いていた雑誌を拾い上げてふうっと小さくため息をついた。
「・・・真壁俊・・・か・・・」
雑誌の表紙にもなっている真壁俊のアップを眺めながら、あかねはもう一度ため息をついた。
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